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ホワイト企業大賞の軌跡

第4回表彰企業(2017年度)

組織プロフィールおよびホワイト企業指数アンケートの実施結果提出による応募、企画委員会による検討・訪問・大賞決定会議を経て、大賞3社、特別賞14社、推進賞4社を決定しました。

大賞(敬称略、各賞内での記載は応募順)

  • 株式会社ピアズ(東京都港区、桑野隆司氏)

    「無意味な常識に囚われず、意味のある非常識を追求し価値ある社会活動を行う」という理念の基、画期的なサービスや仕組みを導入している。その経営理念の根底には、社員を幸せにしたい、お客様により良い価値を提供したい、遅れている通信業界を変革したい、という桑野社長の強い思いがある。また、その想いが社員にも伝わるような仕組みづくりをしており、「想いに共感してくれる仲間」と会社づくりを行っている。 そして、社員の行動の基となる、利他の心を生み出す源泉を「EH」(社員幸福) と位置づけ、いわゆる「ES」(社員満足)との違いを明確にして追求をしている。 志ありき、幾多の困難な経験や挫折、質(理念)と量(業績)の葛藤を乗り越えながら、全体最適で整合性のある組織風土をつくり上げているところが素晴らしい。

  • 株式会社森へ(神奈川県横浜市、山田 博氏)

    ホワイト企業を選ぶにあたっては、いくつかの基本的な質問項目がある。例えば、「やりがいを高めるためにどんなことをしていますか?」「社会貢献のために何をしていますか?」といったことである。これに対して、森への皆さんは「やりがいを高める必要がないので回答に困った」「やっていること自体が社会貢献なのでそういう意識がことさらなかった」との回答を寄せられた。これらの回答には、審査する側をハッとさせるものがあった。そして、インタビューでは、森のことをやっているので森のような経営をしたいと話され、ますます興味がかきたてられた。同社には、目標もなく、規則もない。しかし、全員の目がキラキラしていて、秩序がある。コントロールはなく、かわりに何のための事業なのか、とことん語り合ってきた仲間同志の信頼感と熱い志がある。まるで多様な生命がそれぞれに尊ばれ、いきいきと自らを開いている森のような雰囲気がある。代表の山田博さんは、同社の経営について「素晴らしいことが起こると信じ、宇宙に委ねている」そうだ。審査員である前に一人の人間として、この会社がこの時代に存在する理由を深く受け止めたいと感じずにいられなかった。そして、このような未完成であり、現在進行形で発達する森のような同社を多くの方々に知って頂きたいと願った。ホワイト企業大賞として同社を表彰する理由である。

  • リベラル株式会社(東京都江戸川区、本間省三氏)

    ラディックス株式会社の特例子会社であるリベラル株式会社は、知的障がい者の社員が磨き上げた中古OA機器の販売を行う会社です。働く人の人生を考えた時、親会社に依存する会社では真の幸せが実現されないと、障がい者雇用対策としてスタートしている。当初から黒字化を目指し、障がい者を「福祉」としてではなく、会社の「戦力」として雇用していこうと、選ばれる会社づくり・人財育成に取り組まれてきました。その努力は徐々に実り、今では障がい者が自律的に中古OA機器を修理・清掃し、新品以上のクオリティで届ける仕組みをつくり、創業以来黒字経営を続けてられています。 社名の「リベラル」に込められた思いは、健常者と障がい者が共に楽しく自由に働ける会社を作ろうというもの。障がい者に対しては、過度に配慮しない、本気でぶつかる、考えて行動させるなど、健常者として、また本当の家族のように接していくことで、共に働く健常者も学び、障がい者の自立・成長を促しています。人に仕事を合わせる。人と本気で向き合う。昭和の下町の会社のような、温かい家族的つながりのある会社です。

健幸志向経営賞

  • 旭テクノプラント株式会社(岡山県倉敷市、藤森 健氏)

    岡山県倉敷市で地元のインフラ整備を生業とする企業である。そこで培われたテクノロジーを基に、さまざまなアイディアを活かしてユニークな事業展開をしている。ユニークな事業の1つが、土のいらない水耕栽培の野菜作りである。本業のイメージを一新するようなアイディアに驚愕する。また、地元の高校生を応援するために、スウィング甲子園を主催し、子供たちの夢と元気を引き出す活動をしている。そして、超ユニークな取り組みの1つが、全員が持っているPowerbookで自分の想い描く最幸の一年をマネジメントするためのスケジュールノートである。プライベートをより豊かにするための目標管理に使用したり、なりたい自分・なれる自分を明確にして生きる指針に利用している。自分やお客様との約束を自ら率先して行い、時間をマネジメントし易くすることを目的に独自に作成し、体の健康だけでなく、心の幸せを日々の業務の中でサポートしている。

社員、女性に優しい経営創造賞

  • 株式会社 I-ne(大阪府大阪市、大西洋平氏)

    女性や働いている人に、とても人気のある会社です。大学時代に起業した大西代表が、「Chain of Happiness」という理念の基、商品を通して「お客様やその家族」を幸せにし、そこから生まれる、喜び、笑顔、雇用や利益を通して「取引先やその家族」「地域社会」「自社の社員やその家族」の幸せを連鎖させる経営を展開しています。また社員全員が「できない理由」ではなく「出来る方法」を常に考え、挑戦し、主体性を持って日々を楽しむことも目指しています。クレドによる理念浸透を行い、社員、女性にやさしい経営を目指し、フレックス・在宅勤務・子連れ勤務・家族の看護休暇・残業時間削減・無料昼食・託児施設開設等とても充実しています。

笑顔が生まれる経営賞

  • 株式会社カルテットコミュニケーションズ(愛知県名古屋市、堤 大輔氏)

    カルテットコミュニケーションズは、リスティング広告の運用代行会社。大企業ではなく主に中小企業を対象にしたインターネット広告の代理店として、リーズナブルな価格と顧客本位の親身な対応を武器に、成長を続けています。広告・WEB業界は長時間労働など悪いイメージが先行しています。これを払拭したいと同社は「世界一効率的な代理店」をビジョンに掲げ、仕事の効率を高めながらも、社員が自分の時間を十分に取れるようビジネスを練り上げ、また外部に対しては自社の残業時間を公開するなど、徹底的に残業ゼロに取り組んでいます。その根底にあるのは社員の幸せを考える経営者の思い。まわりの人の喜びの為に働くことを大事にしようと「忘己利他」(もうこりた)を理念に、お客様第一、そして仲間のことを考えて働く人財と社風を育てられています。しかし、お客様第一だからといって無理な要求にまで対応していては、家族のような存在である社員の幸せは実現できないと契約を断ることも。そんな働く人を大切にする経営者の思いが社員にも伝わり、社員同士の関係も良好。ひとつの家族のようにみんなが支え合い、仲良く働く社風が実現されています。

人間愛経営賞

  • 株式会社基陽(兵庫県三木市、藤田尊子氏)

    働きがいを大切にする社風が根付いており、他社のワークライフバランス担当者が「この会社ほどWLBを真剣に考え実践しているところはない」と感動して入社していることは、顕著な例である。毎日17:30にはほぼ全員が帰宅する。訪問時は事務所から作業所に至るまで、笑顔とあいさつが自然と見られた。建設現場で使われる安全帯を扱う会社だが、女性比率は6割と高く、男女や経歴を問わず活躍できることも特徴の一つ。姉の藤田尊子さんが父から社長を継ぎ、妹の典子さんが常務を務める。また女性が得意とされる柔軟な感性が、取引先である建設業界に新しい風を送っているようにも見受けられ、今後の躍進が大いに楽しみな会社である。恋人委員会(お客さまを恋人のように思う)、ハピネス委員会などユニークな7つの委員会も有益に運営されている。受賞歴は、「じゃばら安全帯」でグッドデザイン賞をダブル表彰、「剣フック」でグッドデザイン賞金賞を受賞。ワークライフバランス賞、内閣府主催 女性のチャレンジ賞ほか。

明け渡し経営賞

  • ご縁の杜株式会社(神奈川県湯河原、深澤里奈子氏)

    料理旅館として定評を得ていた「宿」から、「本来の自分に還る切っ掛けづくりの場になる」ことをコンセプトとする「場」へとシフトした。そのために必要な、「想い方」と「食べ物を大切にした在り方」に心を砕いています。働く人のやりがいが高く、地域を巻き込んだ取り組みも継続しているが、ここの特徴は、本大賞のこの2つの柱ではなく、見えない世界に忠実であろうとすることだと感じた。一般的な経営論や評価には当てはまらない。また、当てはめる必要もない会社で、今後、さらにいきいきしていきそうだという直感や、ぶれない安心感がある。五感だけで経営しているようにも見えるが、ちゃんと成り立つというユニークな会社に期待している。

学習する組織経営賞

  • 有限会社たこ梅(大阪府大阪市、岡田哲生氏)

    たこ梅は創業170年の関東煮(おでん)屋さんです。岡田社長は社員教育にとても熱心であり、多くの学びを自ら習得し、社員に提供しています。リーマンショック後、上意下達のマネジメントから「どうすれば人はイキイキとすすんで働くか?」「人にすすめたくなるお店になるためにはどうすればいいか?」など、店舗経営にかかわる根幹を働く人たちが考え、実行する仕組み作りに挑戦しました。現在は、新しい取り組みや提案は社員に任されており、チャレンジできる社風も育ってきました、また最近では、たこ梅の研修や教育を受けたいために入社する若者も現れました。伝統の味を厳しく守りながらも、社員自らが学習し、成長する組織作りを目指すタコ梅の経営は、飲食業界に新しいスタイルを生み出し、新鮮な風を吹かせ続けています。

部門充実経営賞

  • 株式会社ドコモCS ビジネスサポート部(東京都港区、森山浩幹氏)

    今回の応募は、大企業における1つの部門からという点にも大きな意義があった。応募してくださったのは同部署の森山部長であった。森山部長は、ご自身の定年や、身近な人の病といった出来事をきっかけに自らの使命を模索され、自分が会社を卒業した後に何を残せるかとお考えになった。そして、大きな組織の中の一部署としての難しさもある中、自分がいなくなっても、みんなが幸せでいられるようにすることが自分の願いであることに気づかれ、毎朝部下へのメッセージをメール配信し、部下の話を傾聴され、イベントを開催するなど、部内のコミュニケーションを活性化され、働きやすく明るい職場の実現に向け前進されている。このような、一人の管理職の願い、そして1つの部門からはじまった取り組みが、やがて全社に拡がりを見せ、やりがいと同時にさらに生産性を高める好循環が実現されていけば、他の多くの大企業にとってもお手本となりえる。まさにホワイト企業大賞の目指すところであり、期待を込めて表彰させていただく。

知好楽経営賞

  • 有限会社ノームランド高橋(群馬県利根郡、高橋宣明氏)

    昭和村にて、レタス、ほうれん草、小松菜、キャベツ、ブロッコリーが主力製品とする農業を経営。家族だけでやる「農家」ではなく、社員を雇って営む「経営」に取り組む。社長の「売上を上げるだけではつまらない、人を育てることをしたい」という思いのもと、皆が楽しくやれる農業法人を目指す。一方で、奥様の原体験として、農業をやっていた両親が幸せそうだった、「農業=幸せな家族」がある。純粋に野菜を作っている姿が絵になる、農業界のディズニーランド、「来ているだけでも楽しめる」農業のあり方を探求している。また、PTA会長、「3代目」という若手20名ほどの勉強会、地域の冬祭りの長も務め、地域をより良くしていこうという意思と行動力も称賛に値する。

ワークライフ インテグレーション経営賞

  • 株式会社ファースト・コラボレーション(高知県高知市、武樋泰臣氏)

    会社の目的は「働く人たちとその縁ある人々の幸せのためである」と位置づけお客様や地域の人たちに愛され親しまれ感動共有できる企業を全社一丸となって目指している活気ある企業。 社員の方向性が一致し、同じ価値観を共有した組織をつくるために、合宿やミーティングで経営理念や会社の在り方などを徹底的に話し合うことを大切にしている。このような質の良いコミュニケーションを多くとることによりチームワークが醸成され、社員同士の信頼関係が強い企業風土となっている。 また、「全社員が望む方向=経営理念」と考え、社員一人ひとり意見を出し合い、経営理念の作成に関わったエピソードからも「社員の幸せのための社員が主役の会社」をつくりたいという想いがあることがよく分かる。 その他にも、人柄や価値観を重視した採用活動や子育てと仕事が両立できるような仕組みを積極的に取り入れることなどからも「人を大切にする経営」を実践している企業である。

あったか家族経営賞

  • 株式会社プレシャスパートナーズ(東京都新宿区、高﨑誠司氏)

    同社は求人広告や人材紹介をメインとした会社である。創業間もない頃は、営業に注力し、残業時間も多く、辞めていく人も少なくなかった。そのような状況を見た当時の髙崎社長は、辞めていくのは根性がないからだと辞める人への責める想いを持っていた。しかし、大切な仲間を失いたくない、共に定年まで働き続けられるホワイトな会社を作りたいという願いからその想いを転換され、残業時間の削減に取り組むと同時に生産性の向上にも挑戦しつづけてこられた。その根底には、人を大切にしたい、人と人のつながりを大切にしたいという想いがあり、それが様々な新たな取り組みを生む原動力となっている。まだまだ挑戦ははじまったばかりであるが、すでに社員の方々からはあたたかい家族のようなつながりを実感する声が多く聞かれた。今後の更なる発展に期待を込めて、表彰させていただく。

公私充実経営賞

  • 株式会社ポッケ(東京都渋谷区、廣瀬周一氏)

    占いコンテンツを主力として、基礎体温ツール、お天気.com、頭痛―る、一億人の姓名判断などを提供。利用者が不幸を感じたり、楽しくないものは出さないことを信条としている。IT企業でありながら、全社員の平均残業時間はわずか5時間(月) 、帰宅後にPCにログインする人もほぼなし。有給取得率は86.6%と高い。これは、ルーティン作業の自動化が大きく貢献しており、それにより、創造性に使える時間も飛躍的に増えた。社員85人中、社内結婚が1割と多く、希望すれば誰でも在宅勤務が可能であることから、女性は出産後も働きやすい環境となっている。子育てしながら働いている人が10人以上おり、直近4年間の退職者はゼロである。理念や行動指針に沿った評価制度、給料以外はすべて公開し、経営者の課題も社員と共有する透明性が、信頼につながっている。IT業界の楽しい働き方のモデルとしても注目が期待される。

ごきげん経営賞

  • 安井建設株式会社(愛知県江南市、安井浩一氏)

    愛知県江南市にある新築一戸建て工務店。お客様第一主義の工務店として地元に愛され、売り上げナンバー1の企業。世界に1つしかない幸せの家づくりをテーマに、お客様の安心を考慮した独自の地震対策にも取り組み成果を上げている。家づくりだけでなく、一生に一度の思い出づくりとなるような対応を全員で全身全霊働いている。ファミリーのような一体感のある経営で、社員の働き甲斐を大事にしている。社長自ら心のマネジメントを学び、実践し、会社全体に展開している。揺らがず・とらわれずのごきげんマインドを推進するフローリーダーの育成を積極的に行い、社員たち自らがホワイト企業経営に取り組んでいる。働き甲斐向上のプロジェクトを社員同士で社内に展開し経営陣も見守り推進する。とにかく、コミュニケーションと笑顔の溢れる職場と言える。

地域愛経営賞

  • 株式会社弓田建設(福島県会津若松市、弓田八平氏)

    会津若松において、土木、公共工事、住宅新築からマンション管理まで、建築事業をワンストップで展開。「弓田さんに相談してみっか」と、地域の方々からあてにされる企業をつくることを目指している。自社の発展にとって、地域や社会は無くてはならない、儲かったから地域貢献するのでは無く、ある意味、当然のこととして、地域貢献を経営に組み込んでいる。活動は、地域の歴史建造物の継承、小中学校の夜間警備、子供向けの農園運営と幅広い。その姿勢は地域貢献を越え、地域に生かされる生命的な経営観とも言えよう。それは、社内にも発揮され、気さくに、話せる風通しの良い社風を形成している。また、結婚・出産・育児など女性のライフイベントへの対応も完備され、働きやすい職場つくりを実現している。併せて、次期幹部候補への定期的な研修や、資格所得の推進と働き手の成長への意識も高い。

【推進賞】(敬称略、応募順)
  • 一般財団法人旧岡田邸200年財団(北海道旭川市、高橋富士子氏)
  • 株式会社グッドラックスリー(福岡県市、井上和久氏)
  • 株式会社電巧社(東京都港区、中嶋乃武也氏)
  • 福田刃物工業株式会社(岐阜県関市、福田克則氏)

(ホワイト企業大賞企画委員長 天外伺朗)